2011年4月28日木曜日

記憶の中の祖国

約一週間の日本滞在を終えてイギリスに戻ってきた。

今回は遊びに帰ったわけではないのでよけいなのだが、日本はずいぶん沈んで見えた。3月11日当日偶然東京にいた父はビルの高層階で地震を経験し、駅で一晩寝て帰ったという。その後地震のショックで不眠症になってしまったため、睡眠薬を服用していた。両親ともに原発問題に心囚われているようで、事ある毎に原発の話題が出た。プルト君のビデオも見せられた。

私の実家も夫の実家も西日本にあって表面上は全く何の影響もないのだが、特に原発問題が心にのしかかっているようだった。夫の実家は上関原発予定地から30キロくらいのところにあって、これまでは遠いと思っていたのだがもし何かあったら逃げなければいけない距離であり、さらに活断層の上に建っているという伊方原発からも近い。これまでは意識したこともなかったけど日本全国逃げ場無しという感覚があった。

日本のムードが沈んでいるような気がしているために、道路の白線の色が褪せていること、道が意外とデコボコなこと、に気づいてしまい日本お金ないのか、とさらに気が沈んだが前からそうであったのではないかという指摘を受けた。気のせいで妙なところに目が行くものである。

日本を離れて三年目になるためか、記憶の中の日本と現実の日本がどんどん離れていく。本当に変化しているのか、記憶の中の日本が美化されているのかわからない。

震災のことを忘れないために毎月どこかしらに募金をすることにした。先月は日本赤十字社にしたが、今月は栄村に。栄村はどこかすら把握してなかったが、帰国したら父から「秋山郷だ」と教えられた。秋山郷と言えば、ブラジルから帰ってきて初めて国内旅行した思い出の場所で、雪深い秘境じゃないか。全く調べてもいなかった。

中部電力が浜岡原子力発電所三号機の再稼働を目指しているようだ。気分が悪くなってきた。もし福島第一の事故のあとでさらに事故があるようでは日本という国も日本というブランドも今後評価されることはないだろう。というか原発容認派が多数派なの?不安を訴える声は全く届いていないのか?

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