2011年6月12日日曜日

La mala educación (バッド・エデュケーション)

もうずいぶん前(公開当時)に見て以来の鑑賞。年代と場所を把握したくて見たのだが、全くあらすじを覚えていなかった。覚えていたのは、少年時代の顛末だけだ。
以下映画のストーリーに触れます。この映画はあらすじを知ってしまうとおもしろくないと思うので注意。これってレオノール・ワトリングがちらっと出てたんだねえ。全然気づかなかった。IMDb見て初めて知ったよ。
IMDb: Bad Education















年代はDVDに入っていたエクストラのアルモドバル本人による説明を参考にしました。

現実部分
1980年、マドリード。映画監督エンリケのもとに初恋の相手イグナシオと名乗る青年が突然訪ねてくる。が、どうしてもエンリケは彼がイグナシオであるように思えない。しかも、イグナシオは「今は母親ですら芸名のアンヘルと呼ぶのだから、ぼくのことはアンヘルと呼んでくれ」と執拗に頼む。イグナシオ改めアンヘルは二人の少年時代の思い出に基づいた小説を手にしていた。これをエンリケが映画化し、アンヘルが出演するというのがアンヘルの希望だった。エンリケは小説に魅了され、映画を撮ろうと決意。アンヘルをエンリケ役にしようと考えるのだがアンヘルは何としてでもサラ役がやりたいと食い下がり、交渉は決裂する。アンヘルが忘れたライターにはガリシアの村Ortigeiraの名前があった。そこはイグナシオの故郷でもある。エンリケはライターに書いてあった店を訪ね、アンヘルのことを聞き、その後イグナシオの実家を訪ねる。イグナシオは三年前にすでに死んでいた。イグナシオの写真の横にはアンヘルの写真が飾ってあった。彼はイグナシオの弟だったのだ。本名はフアン。
エンリケはアンヘルの素性を知っていることを隠すことにした。希望通りアンヘルにサラの役を与える。その「試験」は肉体関係を結ぶことであり、その関係は数ヶ月続いた。
撮影は順調に進み、最後の日を迎える。その日、撮影場所に見慣れない男が現れた。彼は、駿府であることをやめたマノロ神父だった。マノロ神父改めマヌエルはうらぶれた風貌で咳をしながら、フアン、イグナシオとの顛末、実際に起きたことについて全てを語った。
全てを知ったエンリケはアンヘルを拒絶する。元神父はここ何年もアンヘルを探し続けていたのをようやく見つけたのだが、アンヘルに拒絶される。家までエンリケを訪ねたアンヘルはすぐに追い返されるが、最後にイグナシオが死の直前に書いたエンリケへの書きかけの手紙を渡される。
その後の三人の人生が文字で説明される。アンヘルは俳優として成功し、衣装係の女性と結婚。マヌエルはアンヘルを脅迫し続け、ついにはアンヘルが運転する車にひき殺される。エンリケは映画を撮り続ける。

マノロ神父の回想(1977年)
神父をやめ、バレンシアで出版社を営むマノロ神父改めマヌエルにある日電話がかかってくる。イグナシオだった。少年時代にマヌエルから受けた性暴力を記した小説を書いたという。これを公にされたくなければ、性転換にかかる費用を出せ、とイグナシオはマヌエルを脅した。イグナシオの元を訪ねるマヌエル。イグナシオは薬物におぼれていた。現在のイグナシオの姿に失望したマヌエルは、イグナシオと同居していた弟のフアンの姿に目を留める。彼はフアンに夢中になった。金を渡しにイグナシオの元を訪れても、フアンの姿を目で追ってしまう。ある日、イグナシオは旅行に出かけた。その隙を見て、マヌエルはフアンと関係を持つことに成功する。二人の関係は帰ってきたイグナシオに見つかり、マヌエルはこれも脅迫の材料に加えると脅される。フアンとマヌエルの二人はイグナシオを殺すことを決意する。イグナシオはマヌエルが用意したヘロインが原因で死亡。その夜を最後に、フアンとマヌエルが会うことはなかった。

劇中映画部分(La visita)
1964年(サラ・モンティエル主演映画Esa mujerを見ていることを考えると劇中の設定は1969年かもしれない)、エンリケとイグナシオは寄宿学校にいた。マノロ神父はイグナシオに惚れ込み、野外学習中にいたずらをするが拒否される。エンリケとイグナシオは好意を抱きあう仲となり、二人で出かけた映画館で手淫を覚える。その夜、眠れない二人がトイレで話しているところをマノロ神父に見つかり、激高したマノロ神父はエンリケの放校をちらつかせる。エンリケのためにイグナシオはマノロ神父に体を売るが、結局マノロ神父は裏切りエンリケは退学になる。イグナシオは復讐を誓う。
1977年。ドラッグクイーンとなったイグナシオ改めサラは今はうらぶれた劇場となった思い出の映画館でショーに出演した。舞台近くにいた男とショーのあと行為に及ぶが、なんと男は最中に寝てしまう。怒ったサラは男の財布から現金を抜き取ろうとするが、そこには恋しいエンリケの名前があった。手紙を残し、サラは男の元を去る。
サラは、イグナシオの姉と名乗り、母校にマノロ神父を訪ねる。マノロ神父はイグナシオのことを覚えていないと主張するがいまも忘れてはいない。サラは少年時代のイグナシオに何をしたかを書き記した小説を公表すると脅し、現金を要求する。言い争う二人の元に副校長のホセ神父が現れサラを縛り上げる。ホセ神父の口からサラこそがイグナシオだと知ったマノロ神父は言葉を失い、何か言おうとするがホセ神父がその場でサラを殺してしまう。二人は殺人を内密にすることを決意する。